Pages

Fukuoka Art Book Fair

太宰府天満宮にて

2024年6月14日から16日まで

*このサイトは2024年のアーカイブです。
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インタビュー

Vol.2 Pagesが目指すプラットフォーム

話し手:
サバンナ(Pages SNS広報、デザイナー)
白石洋太(Pages ウェブデザイナー・プログラマー)
東 直子(Pages ディレクター、TOKYO ART BOOK FAIR プロジェクトマネージャー)

聞き手:
黒木 晃(Pages アドバイザー、TOKYO ART BOOK FAIR ZINE’S MATEエリア ディレクター)

インタビュー収録日:2024年5月16日

ー今回、運営メンバーに話を聞くという企画は、Webデザインを担当されている白石さんからの提案が発端なんですよね。Pages|Fukuoka Art Book Fair(以下、Pages)のアートディレクターが交代になるという経緯があり、それを受けて、白石さんから、それぞれがそのことに対してどう向き合ってきたかを皆で話した方がいいんじゃないか?と提案があり実際に運営メンバーで座談会形式の場を設けました。(注:座談会の内容を書き起こしの記事としてWebで公開予定だったが、収録時の録音ミスがあり、公開はお蔵入りとなった。座談会の参加者は、川﨑雄平、瓜生賢太郎、東直子、長尾周平、白石洋太、サバンナ、黒木晃(聞き手)の7名。仕切り直しとして、3回に分けた本インタビュー企画が行われた。)

白石洋太(以下、白石):まず、僕がPagesに参加させてもらってるのは、本屋青旗の川崎さんが呼んでくれたからなんですけど、運営に関わっている他のメンバーそれぞれがどういう人なのかもよく知らないままの部分があって。単純に皆のことを知りたいっていうのと、フェア全体への理解も深めたいというのがまず一つ。もう一つは、アートディレクターが交代するってなったときに、やっぱりみんな暗い気持ちになっちゃったと思うんです。けど、そういうのをなんか、ちゃんと払拭するべきというか。ピンチはチャンスというか、そういう出来事がなかったときよりも、さらによくできるチャンスだなと。それは僕の個人的な思いですけど、皆で話が出来て本当に良かったです。

ーあの座談会の最後の方で、サバンナさんも皆で話せてよかったと言っていたのが、印象に残っています。

サバンナ:そうですね、あの問題が起きた後は、各々が感じている気持ちや意見をどう受け止めていいか分からず、皆とても苦しい状態だったから、それぞれがようやく吐き出せたみたいな気はしましたね。あの座談会がなかったら、多分あのままやれてなかったんじゃないかなと本当に思います。

東 直子(以下、東):今回Pagesに関わってくれているのは福岡の人たちだけじゃなく、福岡以外の地域や、TOKYO ART BOOK FAIR(以下、TABF)のマネジメントを手伝ってくれてる方たちもサポートで入ってくれていたり、いろんなところを拠点にしている人が集まっているんですけど、何かしら縁があって、同じような方向を向いてるから集まったメンバーだと思います。だけど、物理的な距離もあり直接の面識はないメンバーもいたので、皆でじっくり話す機会を作れたのは、私も良かったなと思っています。私もあの問題が起こったときに、もしかしたら出展や協賛を検討してくれていた方が、やっぱり辞めたいって言うかもしれないっていう怖さや不安もたくさんありました。でも、関係者のみなさんが自分事として、どうしたらいいか考えてくださってありがたかったです。一方で、より密に話し合う運営メンバー同士ではやっぱり、ぶつかり合うこともあって。フェアの宣伝をはじめるタイミングに起こったことだったので、いろんなしわ寄せが来て、他にやらなきゃいけないこともあるし、心身ともに疲れ果てていた状態でなかなか意見のすり合わせもうまくいかず……。白石さんの一声がなかったらそのまま空中分解していた可能性もあるので、あの座談会で全部吐き出せたのは本当に良かったです。なんか結束力も深まったし、一丸となってやっていけるなっていう気持ちになりました。

白石:そうっすよね。

ーその座談会で話していたことで、福岡の人たちが自分事のように心配してくれて、新しくアートディレクターを担当することになった長尾くんと一緒に、かなり遅い時間まで話をしたこともあったというのが印象に残っています。白石さんも実際その場にいたんですよね?

白石:そう。長尾さんがちょうど今のデザインの提案をした直後ぐらいかな。今回の件を起点にみんないろんな感情が発動していった感じはあったから。やっぱり、いろんなことに通じる問題だと思うし、自分自身もいろいろ考えさせられる出来事ではあったから、こないだ皆で話したときも、いろんな話に広がっていったのは、僕は良かったんじゃないかなと思います。

ーPagesがアートディレクターを交代するという判断をして、なおかつその発表後すぐにコミュニティー協定を公開しています。実際は、問題が起きる前から、コミュニティー協定を作ろうという話があったと伺いました。どういった経緯で作ることになったんですか?

サバンナ:最初に東さんからPagesに誘ってもらい、イベントの概要を聞いたときに、「フェアのステートメントとかないんですか?」みたいな感じで聞いた気がします。自分はドイツのベルリンにしばらく住んでいたんですけど、音楽イベントやクラブなどの遊び場の多くでは、一定のステートメントが掲げられていて、それに同意することでようやく入場できる、という仕組みみたいなところが多くて。例えばエントランスで、「あなたはクィアのコミュニティーに賛同しますか?レイシストじゃないですか?」等の質問をされて、賛同する場合のみ中に入れるルールになっている場所が多かったです。。なのでクラブの中ではすごくカオスな状況であっても、心理的な安全性が保たれているという感覚が強くありました。一方で日本で自分が参加するイベントやパーティー、東京はわからないですけど、少なくとも自分がいる福岡は、そういうステートメントとかを掲げている場がほとんどないことに気づいたんです。。だからPagesのような規模で、皆が何かしらの思いを持って芸術を扱うアートブックフェアで、明確なステートメントを掲げることはすごい大事なんじゃないかなと。

:サバンナちゃんと瓜生(賢太郎、Pagesディレクター)くんがステートメントを提案してくれて、確かに必要だなと思いました。

ーそこからどうやってステートメントを作っていったんですか?

サバンナ:でも実際に作ろうって動きはじめたのが、問題が起こった後だったので、ちょっと急がなきゃいけない状況になっていて、そのときに直子さんが参考になる例として、映画祭やアートフェアなどをリサーチしてくれて、それを参考にする形で、組み立てていきました。あとは色々な方からアドバイスもらったりしつつ、添削をしてっていう感じでした。

:アートブックフェアって、コミュニティー協定に掲げられてるようなことが比較的守られている場だったなと思ったんですけど、より意識的にみんなで守ろうとする意識が改めて広がっていくといいなと考えました。あと、前回の座談会のときもそうですけど、突っ込んだトピックについて話すとき、発言するのが怖くなることがあるじゃないですか。一部だけ切り取られたりとか、全く違う意見も受け入れないわけじゃないけど、自分はこういう思いがあってこうしたいとかっていうのを、丁寧に伝えられず誤解も生む怖さだったり、知識が足りないと感じて萎縮したり。でもそこで怖くなってしまうんじゃなくて、ここは守られてる場ですよ、あなたの意見を言っても大丈夫な場所ですよっていうふうにできるといいなと思っています。出展者の中にもそういう思いを持ち、一方的に一つの答えに誘導するようなものではなく、多層的なものとして本を作ってる方たちもたくさんいるので、アートブックフェアに必要な協定だったなって、改めて思います。でも、協定があまりにも立派すぎて、不安もあります。

サバンナ:これが基準ぐらいの感じになっていったらいいなと思っていて。確かに自分も全部守れてますか?と言われたら自信を持ってはいと言えるか分からないんですけど。でもそうですよね。

白石:コミュニティー協定のあり方は、僕はもうちょっといろいろできるのかなっていう気もします。今は結構、パッとそれだけある感じがして。もちろん、二人が言ってるように、自分はどうなんだみたいな話もあるけど、今勉強中だよみたいな、そういうスタンスは重要だし、なんならフェア中にそれに関連するトークセッションとかがあっても面白い気がする。例えばコミュニティー協定がちゃんとデザインされたポスターとして会場に掲示してあるとか。もう少し血が通ってる感じみたいなのがあったらいいなと。

:私も本当にまだまだ勉強中だし、等身大の姿勢で、フェアを通じてみんなで一緒に学んで、考えて、語れたりしたらいいなと思います。そのためにどうしたらいいのかなって考えて、アートブックフェアなので、コミュニティー協定について考えるリーディングルームを作ることにしました。ライターで美学研究家の村上由鶴さんにコミュニティー協定にまつわるアートブックと写真集の選書をお願いしています。福岡のMINOU BOOKS 店主の石井勇さんには、一般書籍と雑誌から選書してもらいました。MINOU BOOKSさんは、いろんな社会問題や、ジェンダー、アイデンティティの問題についてのトークショーも開催されている本屋さんで、今回フェアのアドバイザーであるMISAKO MISAKOさんと一緒にワークショップも行ってくださる予定です。皆さんにいきなり「話しましょう」と言っても話しずらいと感じる方もいると思うので、みんなで手を動かしながらとか、ワークショップをしながら、話をしてもいいし、聞くだけもいいみたいな時間を共有したいという思いで企画しています。白石さんがおっしゃったみたいに、私もコミュニティー協定を掲げるだけだと、ハリボテ感が出そうな気がしていて、何か協定に関連したコンテンツも実施したいと思っています。

サバンナ:たぶん、まずステートメントとか、Community Agreement(コミュニティー協定)っていう言葉が、こういうイベントに関わっている運営の人たちや、海外との繋がりある方とかは認識がある方が多いと思うんですけど、そういった言葉自体知らない人もたくさんいるんだろうなと思ってて。だからまずそれが何なのか、なんで掲げてるのかとかは、どこかで提示できたらいいなって個人的には思ってます。批判的な人とかもいて、なんでそんなことをわざわざ書く必要があるんだ、考えればわかることじゃん、窮屈だみたいな言い方されちゃったりとか。いや、でも出来ていないからやってるんだよって感じだけど、なんかその辺の伝わらなさとかが、もっと何て言うのかな、ちゃんとした意味で変な捉え方をされたくないというか、何で必要なのかを解きたいみたいな気持ちはありますね。

白石:サバンナちゃんが言うように細かい言葉の選び方というか、やっぱり仕組み自体が権威的に見えちゃうと、そもそも根本的におかしいというか。わからないけど、例えば「ステートメント」を、「心得」みたいな言葉に変えてみようとか。もうちょっとコミュニティに貢献するみたいな意識があっていいんじゃないかなっていうのは思う。世界中のアートブックフェア全体でも適用できるぐらいの運動に繋げる意識とか。「Sónar」っていうバルセロナの音楽フェスティヴァルに行ったことがあるんですけど、そこでは、バルセロナ市の「“NO CALLEM” protocol (“We won’t keep quiet”) 」に、Sónarも則りますみたいなのが、ホームページにあって。

サバンナ:ああ、わかりやすいですね。

白石:プロトコルってなんていうんだろう、約束事とかを指すと思うんですけど、ロゴとかがあって、なんか名前がついてるって言うのも結構いいなと思ったり。ただのステートメントってなると広過ぎるから、こういう風にラベリングしてあげるとかはいいなと思った記憶がありますね。

ー確かに、福岡の他のクラブとか、飲食店とかが、Pagesに賛同しますみたいな感じで、協定を掲げるみたいなこともできるかもしれないですね。

白石:そうそう。例えばその期間、QRコードがついてるシールみたいなのがあって、それを読み込むと、コミュニティー協定について詳しく読めるページがあるとか。何かそういうことに賛同しているお店ですみたいなものとか、そこまでやれると良いですけど。

サバンナ:本来そうあってほしいけど、やっぱりこのご時世だからなのか、そういうことを掲げること自体がなんかいわゆる思想強いみたいに思われたり、皆めちゃくちゃそれに怯えてる。

白石:まぁでも日本は全体的にもともとそういうノリは正直あるからね。

サバンナ:だからみんな積極的にはやりたがらない。前も話したと思うんですけど、今回の問題が発覚してから、関係のある場が発表してた声明とか、どういうスタンスで言ってるのかが全くわからないままで。リスクヘッジでしかないんだと思うんですけど`。

白石:事務的にやってる感じがね。

サバンナ:そう。すごく無機質な感じがしたんですよね。やっぱりみんな怖いんだなと。だから、こういう考えに賛同しますっていう大きい声でバーンって言える人たちってあんまりいなくて、だからこそ、Pagesとか、大きいイベントで、福岡で最初に提示できることにも意味はあるのかなと思いたいんですけど、そこから派生していってほしいですね。

ー少しずつでもきっかけにはなりそうな気はしますね。まずひとつはじめることで、何かしら次の人たちも動きやすくなると思います。

白石:でも今回の問題があった後、別になんか黙ったままやっても、対外的には大ごとにもならないというか。こういう取り組みって大変なことだし、体力も使うし、これやったからといって何かすごい来場者がめっちゃ増えるとかっていう、わかりやすい成果があるわけでもない。だけど、少なくともここにはそれが大事なんじゃないかっていう人が揃っているから、やっぱりやるんだと思うし。こういう小規模な出版社が集まってやること、そもそも出版っていう行為自体が、何か小さい取り組みを祝福するみたいなことだと思う。やっぱり今、街作りとかを見ても、何か大きいものに結構取り込まれてるんだけど、やっぱそうじゃないよねと思っているような人がやってる取り組みだと思うから。もちろん、続けていくためにお金もちゃんと稼がないとねみたいなのもあるけど、やっぱり一番は何かそういうことに賛同する人と一緒にやっていくものだと思って、むしろ何か率先してね。こういうステートメントとかもやっていくべきだと思うから。すごく時間が無い中でみんなやってるし、まだ第1回目で、本当に手探り的な感じもあるけど、今回全部できなくても、こういう話ができてる時点で第一歩と考えれば前向きに捉えていいと思う。

ーまずは、Pagesに足を運んでもらって、先程話題に出たリーディングルームに立ち寄ってもらったり、きっかけを作れると良いですね。

白石:村上由鶴さんには、POPEYE Webでもすごいお世話になっているんだけど、人権センターなどでも働いていて、そういった問題にとても詳しいし、勉強してる方で、トークイベントも楽しみです。

:はい、村上さんは秋田から福岡に来てくれることになりました。でも、本を並べるだけで本当にみんなが一緒に見てくれるのかなとか、そこで現場のスタッフがどう対応するかとか、そういったことも考えていかなきゃいけないなと思います。先ほどおっしゃっていただいたポスターを作るとか、何かその目につくところで、タッチポイントを増やしていくみたいなことは、今からでもできることだから考えてみたいですね。

白石:うん。それこそ由鶴さんに、例えばPagesのアドバイザーみたいな役職で携わってもらうとか、身近にいてもらうみたいなこともあるかもしれない。

ー2023年に東京で開催されたアートイベント『EASTEAST_』では、ファッションジャーナリストの徳永啓太さんが、彼は車椅子を使用されているのですが、会場のアクセシビリティ提案に携わっていて、すごく良い取り組みだなと思いました。元々の設定として、当事者の人に入ってもらうことで気付けることも多いのかなと。

:それはすごく良いですね。ただ、Pagesの会場は普段は入れない歴史的な古い建物になるためバリアフリーじゃないんです。

白石:会場の特徴もあるし、それはしょうがない部分というか、だからそれを逆手にとって、そういう場所だから皆で手伝おうとかできたらね。

サバンナ:私たち運営側だけじゃなくて、来ているお客さんが、自然に手伝ってあげるみたいな状況が生まれたら最高だなと思ってて。おばあさんが重い荷物持ってたら持ってあげるみたいなあの感じで発生してほしいから、看板とか、わかりやすく提示できたらいいなと今聞いてて思いました。

白石:どこをどうすればいいのかみたいなのは、結構難しいよね。

サバンナ:難しいですよね。

ーでも、駅とか電車とかで見かける、助け合いを啓蒙するポスターみたいになってしまうのもちょっとね。

白石:わかる。ほっといてくれよってね(笑)。だから本当にそういうのがなくても、動線の設計とか、わかんないけどそういう部分で何か伝わるみたいになってるのが一番いいんだろうね。

:そうですね、それがいいですね。でも会場である余香殿は建物の2階なのですがエスカレーターもエレベーターもないんですよ。

白石:そうっすよね、階段で上に上がらないといけないんですよね。

:そうなんです。できる範囲で対策を講じたいのですが、階段の上り下りの補助を私たち素人がどこまでできるのか? 混雑したときに、快適に見ていただける動線が確保できるのか? というと、皆さんのご協力がないと厳しいかなっていう感じはしていて。もうひとつの会場の文書館は畳なので、車椅子で入ることができません。そのような条件下で私たちに何ができるのかを他の運営メンバーとも話してたんですけど、会場に入れないお客様の話を聞いて、興味がある出展者の本を持って来るといった個別の対応を考えるのもありかなみたいな案が出てきました。予算やマンパワーに限りがある私たちにできることを考え、今回でなくても少しずつでも解決案を見出していけたらと思います。あとは出展者の方に耳が聞こえない方に対して筆談の対応をお願いしました。そういう視点を持つと、自分が当たり前だと思っていた世界は、当たり前じゃないんだっていうのを、改めて考えさせられました。

白石:そうですね。たぶん全ての人に快適な空間を提供できるかは本当に微妙というか、おそらく現状では結構厳しい部分あるけど、でも何かそういう障害を持っている方へのメッセージだったり、ステートメントを作ったり。それが正解なのかわかんないけど。でも全部に対応するのは難しいから、どこまでやればいいんだって感じですね。

:うん、すごく悩んでます。

サバンナ:どういうところを参考にしたらいいんですかね。

:いろんなケースを知りたいですね。

白石:勉強会。こういうフェアとかの作り方についてのトークセッションみたいなのもあったら面白いかもしれない。会場構成の人とかも交えて、ここはこうあったらいいとか、次はこうしたいとか。

サバンナ:確かに、今回1回目でどこまでできるかわかんないけど、今後やっていく中で、階段あるから無理だしやめとこうみたいな人が少しでも減ってくれたらいいですけどね。

:実はトークショーの枠が一つ余ってて、私達の座談会やってもいいかもしれない。誰も聞かないかもしれないけど(笑)。

白石:でもいいと思いますよ。そういうのは一番重要な気がする。やっぱやってる人の話とか、興味ある人いると思う。

サバンナ:うん、顔が見えるのは大事かもしれないです。血が通ってますよね、さっき白石さんが言ってた、血が通ってるか通ってないかで言うと。要はこのトークを公開でやるってことですよね。これぐらいのフランクさがいいですよねきっと。なんかいきなり人権の問題とかっていう感じで掲げると構えちゃうから。

白石:普通にもう俺らめっちゃ悩んでますみたいな。

サバンナ:そうそう、それが一番素直ですよね。

白石:こんな悩みながらやってるんだと、わかってもらえたらいいんじゃないすか。

:そうですね。なんかプログラムの一つに運営メンバーがいろいろ紆余曲折あって、自分たちも学びながら、悩みながらやってますみたいな話をする枠を設けてもらってもいいかもですね。

白石:いいと思います。僕は参加します!なんならもう、ちょっと喧嘩ぐらいになってもいいんじゃないかぐらいの気持ちです。喧嘩にならなくていいけど(笑)。でも、この間のON AIRでみんなで呑んでる時もすごい激論が繰り広げられていたから。Dice&Diceの吉田さんとか、ON AIRももちろんそうだし、協賛側の人たちも、Pagesのことを考えてくれていて。そういう皆の思いが、結構ありましたね。

:はい、ひしひしと感じます。激励していただいてます。福岡の人たちの熱量はすごいです。

白石:長尾さんが言ってたけど、やっぱ福岡は、関係者がみんなで膝を突き合わせて、話し合える土壌があるから、そういうのはすごくいいみたいな。まぁもちろん福岡って言うと広すぎるかもしれないけど、少なくともこの周りにいる人たちは結構、それができる人たちもいると思う。

サバンナ:あとそうだ、福岡でいろんなアーティストが来て展示してくれる機会はどんどん増えていると思うけど。もっとその種類や幅が大きくなればいいなと思います。よくわからない、一見では理解できなさそうな内容でも見に行ってみる、みたいな行為自体が、まだまだ体験できるきっかけが少ないので、その土壌を育てる意味でもアートブックフェアがその入口の様な役目になってほしい。そうしたらきっとみんなの興味のアンテナも徐々に広がっていくはずだし、、そういうのが続いていくことで、いつか福岡に現代美術館みたいな場所ができるんじゃないかという希望を持って、Pagesが成功してほしい所存です。

白石:そうっすね。あとは海外の出展者がもっと増えていったらよいなと思いました。特に福岡は東アジアにも近いし。ポテンシャルはいろいろあるとは思うんすけど。

:海外出展者が増えるのは目標の一つですね。海外から東京経由で福岡まで来るとなると結構経費がかかるじゃないですか。でも、Pagesはアジアの出展者がたくさん集まる場所だっていうふうに認識してもらえたら、アジア圏以外の方たちにとっても参加する意味がより出てくると思うので、いずれはそうなるといいのかなと思っています。

ー福岡ならでは特色が打ち出せるといいですよね。単に海外の出展者がいっぱい来ることだけを目標にしちゃうと、だんだん似たり寄ったりになっちゃう気もして。じゃあそれぞれのフェアの特色って何だろうと考えると、やっぱり地域性だったり、運営してる人たちのスタンスなのかなと思うので、そういう意味では福岡という場所の強みが独自の国際色に繋がっていくといいですよね。

サバンナ:確かにそうですね。一方で、自分を含め地元の人たちにとってはすごくいい刺激になる側面もあるので、そのバランスを模索していきたい。例えばベルリンに住んでる友達がおすすめしてくれたアーティストが、めっちゃPages!って内容の作品を作っていて。彼女はイラン人のアーティストなんですけど、イランは国が厳しいから、正当な理由がない限り自由に国を出られなかったりするんですよね。そういった。いろんなバックボーンをもつ人や作品にも触れられる場所になるといいな。

:めっちゃPagesなアーティスト気になります(笑)。

ーそれこそ、サバンナさんが、Pagesに呼びたいと思う理由だけでも十分というか。運営メンバーの個人的な思いや繋がりも重要だと思います。

白石:黒木くんが言うように、他のフェアをなぞってもしょうがないというか、しょうがなくはないけど、ここでしかできないことを突き詰めていくのは本当に大事だなと思う。海外の人が日本で何かやるってなったら、やっぱり東京じゃね?みたいなのは当たり前の思考ではあるから、逆にすごい振り切ってるアートブックフェアになってるとかもいいかも。このフェアはパーティがやばい!とか。そういう一個尖ってる部分がある方が。

ーすごく良いと思う。Pages毎日アフターパーティーやってるよみたいな(笑)。

サバンナ:出展者がパーティー三昧で全然フェアに来なかったり(笑)

白石:もはやアートブックフェア付きの音楽フェスなんじゃないかみたいなね。

:おまけになってる(笑)!


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